出版までの流れ ‐1冊の本が出来上がるまで‐

スムーズに出版するための重要なポイント

自費出版本がどのような流れで、出版されるのかを知っておきましょう。

各工程で、どのような点に注意して進めていけばいいかを紹介していますので、参考にしてみてください。作業工程は出版社によって多少変わってきますが、大きなステップは下記工程を経て、1冊の本ができあがると思ってください。

各工程の対応密度は出版社によって大きな差があります。全作業をその道のプロがしっかりとサポートしてくれるところもあれば、一部の作業を著者自身がしなければならないところもあります。基本作業の範囲が決まっていて、その範囲を超えると別費用としている出版社もあります。詳しくは出版社のホームページで確認するか、ご相談される際に必ず確認してください。

  出版の流れ1出版の流れ2  

 

STEP1:ご相談・お問い合わせ

なかには既に原稿が完成している方もいるかと思いますが、原稿はこれからという人も相談してみることが、第一歩です。ここからスタートです。とは言っても、どこの出版社に相談すればいいかわからないかと思いますので、それは別の章でご紹介します。ここではまず全体の流れをつかんでください。
今から本を作ろうと考えているのであれば、少なからずどのような本にしたいかのイメージはお持ちだと思います。どんな本が作りたいのか、できるだけ具体的にイメージしてください。作ろうとする本は、誰に対して、どんな目的で読んでほしい本ですか。作品のジャンル、概要などもお伝えください。また、相談するときに、予算が決まっているとか、予算に余裕がない場合にはこの段階で「これくらいの予算で出版を考えている」と正直にお話すれば、出版社も著者の希望を聞いた上で、それに見合った提案をしてくれます。
まずはこれらを伝えると出版社としては著者の目指したい方向性がみてくるので、お互い良いスタートが切れると思います。

【ポイント】
出版がはじめてだと、本についての知識もあまりないので口頭では伝えきれないことが多いと思います。「こんな本が作りたい」という見本があれば、その本を持参するといいと思います。
ご相談した際に、おおよその費用は教えてもらえますが本のサイズ・ページ数・冊数・装丁・カラー写真等の有無で見積額が大きくかわります。出版社では価格の目安となる参考価格表をもっている場合がほとんどですので、あればみせてもらいましょう。ペース数が増えた場合に価格がどのくらい変わるのかを把握できますし、他の出版社との価格比較にも役立ちます。

STEP2:見積

原稿がまったく完成してない場合には、最終的にどの程度のボリュームになるのか見当がつかないのでこの段階で正式な見積もりを出してもらうのは難しいと思いますが、価格表をもとに、想定範囲でのコストは試算してもらえれるでしょう。
逆に、この時点で原稿が準備できている場合は、ヒアリングしたうえで『本の判型・ページ数・製本方法・装丁・原稿の種類(手書き、データ)・写真の有無・編集の有無・イラスト作成有無・書店流通の有り無し』などを確認して、見積もりをだしてくれます。

【ポイント】
見積もりされた内容と同じ既成本があれば是非みせてもらいましょう!完成時のクオリティが一目瞭然です。全く同じ仕様ではないにせよ似たような本でも構わないので、契約しようと考えている出版社の作った本の質を実際に手にして確認しておくことは大切ですので、臆せずお願いしてみましょう。

STEP3:契約

さて、仕様が明確になれば、出版社から見積書と完成までのスケジュールが提示されます。見積金額に納得されたら、いよいよ次は契約を交わすことになります。
契約書は出版社が用意しているので、記載された内容をすべて確認した上で、契約してください。印税の支払いがある場合は、この時点で料率や支払い条件などを必ずご確認ください。
契約時に見積金額の一部を前払いすることが多いです。見積額の半分を事前に入金するパターン、納品時一括支払いなど出版社によって異なります。

【ポイント】
自費出版がはじめての場合、見積額がはたして妥当な額なのか判断ができないかと思います。予算内に収まっていて、出版社の対応にも満足しているのであればいいと思いますが、そうでない場合は複数の出版社に見積もりをとるのがいいと思います。出版社ごとに営業スタイルも作業内容も違いますし、出版に対する考え方も異なります。契約後のキャンセルは困難です、迷っている場合は別の出版社にも見積もりをお願いしてみてください。見積もり自体はタダですから。もうひとつ重要なポイントですが、単に見積額が安い、印税が高いのがいい出版社ということではありません。出版にも適正価格というのは存在します。安すぎる場合には何かしらの理由があるはずです。著者自身でしなければならない作業が多いとか、完全原稿が条件になってるとか、校正回数が1回のみで追加はオプション料金になってるとか、印刷の品質が悪いとか、初心者には気づきにくいところで差があったりします。複数社に見積もりをして、あまりにも額に差がある場合は、その差が何なのかを確認した上で、自分の要件とマッチする出版社と契約するをお勧めします。

STEP4:編集/制作

ここからは主に出版社側の作業になってきますが、原稿を出版社に渡す前に著者自身で原稿を客観的な視点から読み直してみてください。章立てや全体構成も合わせてチェックしてください。もし可能であればご家族や親族の方に原稿を読んでもらい、読みにくい箇所や分かりにくい言葉使い、読んでいて違和感を感じるところがないかなど確認してもらうとベストです。一人では気づかなかったような改善点が見つかることがあります。
編集/制作のステップでは「原稿整理/編集、組版、校正、装丁」の各項目を進めていきます。

原稿整理/編集

わかりやすく、読みやすい原稿にするための作業です。編集者(担当者)が著者の意向や表現を尊重しつつ、読者に対して誤解のある表現がないか、読みづらくないかを読者視点でチェックしていきます。

誤字・脱字のチェック

あきらかな誤字・脱字や誤記がないかを確認します。

用字・用語の統一

同じ意味や内容なのに、漢字やひらがなが使われると読みにくさや誤解を招くため統一します。

文体の統一

「ですます調」「である調子」が混在しないように語尾を統一します。

数字表記の統一

本の内容や組み方を考慮してアラビア数字・ローマ数字・漢数など適切なものに統一します。

漢字の使用範囲の設定

常用漢字の範囲とするか、難解な漢字にルビ(ふりがな)をふるのかなどを決めます。

これら以外もチェックポイントはいくつかありますが、原稿を客観的にチェックしていきます。原稿整理をすることで完成度が上がり、校正での赤字が少なくなります。

組版(レイアウト)

整理した原稿とイラストや写真、図版などをレイアウトしていきます。
この段階で、本の内容や読みやすさなどを考慮して、フォントの種類、大きさ、文字数、行数なども決定して、その本に適切な形にし仕上げていきます
実際に印刷した際の見た目になっていきます。

校正

出版社により校正の回数が異なります。自費出版の場合、費用を抑えるために校正は著者自身にお願いしている場合もあります。
通常、文字校正は「初校」「再校」をおこないます。それでも足りない場合は「三校」「念校」をおこなうこともあります。
校正では、印刷した校正紙でおこなう場合とパソコン画面をみておこなう場合があります。「初校」では、 印刷する前の校正紙をみて、素読みによる内容の確認とレイアウトの確認、誤字脱字などの不備がないかを確認をしていきます。修正事項は赤字をいれていきます。

「再校」では、初校での修正箇所が正しく反映されているかどうかを確認するのが主な目的です。この時点で追加修正が必要な場合には、三校になります。
すべての修正が完了すると「校了」となります。
「校了」とは校正が終わって、本刷の許可が出ることですので、これ以上後戻りはできません。

装丁・帯のデザイン

本のカバーや帯をデザインしていきます。本の表紙は本のイメージにあたったものをご自身で作られてもいいですし、写真を取り入れてもいいと思います。ご自身で用意できない場合はデザイナーに依頼することもできますが、オプション料金になる場合がほとんどです。
帯には、本のキャッチコピーや推薦文が書かれている場合が多いですが、事前にどのようなものにするか考えて準備しておくのがよいでしょう。
カバーは本の印象を決めてしまいかねない重要な部分です。カバーの紙質も大切ですが、タイトルやサブタイトルのフォントの違いでイメージもがらりと変わります。妥協せずに納得するものを作り上げましょう。

STEP5:印刷・製本

ここからは出版社の手を離れます。取引先の印刷会社に判型、部数、紙質、製本方法などを記載した「指示書」と原稿を渡して印刷が始まります。その後、製本作業へ進んで、通常は1~2週間ほどで出来上がります。

STEP6:納品

通常は、ご自宅など指定された場所へ一括納品されますが、
一旦、出版社に納品されてチェックを受けた後、指定の場所へ送られる場合もあります。
また、出版した本を書店へ流通させることにされた場合には、出版社の倉庫に必要な部数をストックしながら、書店流通させるために取次会社に配本していきます。