出版社団体が軽減税率の適用を要望

そもそも軽減税率とは税率を他の商品よりも低くするというもの。2019年10月から消費税が10%に引き上げられるが、酒類を除く飲食料品と新聞は、8%に据え置かれることになっている。

10%へ消費税増税が迫る中、出版社4団体が有害図書を除く書籍や雑誌に対して、税率を低く抑える「軽減税率」を適用するための仕組みを作ろうとしているが、適用に慎重な政府と対立している。

日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本出版取次協会、日本書店商業組合連合会の4団体は軽減税率が適用される新聞と同じく、有害図書を除く書籍や雑誌も「知識を得るため負担を減らすべきもの」とし、政府は「有害図書排除の仕組みができていない」と主張する。

平成28年度の税制改正大綱では「日常生活における意義、有害図書排除の仕組みの構築状況などを勘案しつつ、引き続き検討する」とされた。つまり「有害図書」を除外する仕組みが整えば、書籍や雑誌に軽減税率を適用する可能性があるということを意味する。

「活字文化議員連盟」と「子どもの未来を考える議員連盟」が6月に合同総会を開き、書籍や雑誌に対し軽減税率を適用するよう求める活動方針を採択。有害図書を区分する仕組みを4団体がまとめた。

具体的には、有識者などによる第三者委員会「出版倫理審議委員会」を立ち上げ、有害図書の基準を作成。軽減税率の対象書籍には「出版倫理コード」を付与し、4団体で構成する機構がコードを管理。出版社は基準と照らし合わせて自主的に「出版倫理コード」を付与して出版する。出版後に有害図書の疑いがある書籍が見つかれば第三者委員会で審議し、有害図書と判断されれば標準税率に戻される。

しかしながら、何を根拠に「有害図書」に指定するのか、どの程度のエロ・グロ・暴力までなら許容されるのかという指摘もある。また、憲法84条の租税法律主義では、誰が納税するのか、何にいくら税率を課すのかは法律で定められており、民間団体が書籍ごとに税率を決めるのは違法との声があがっている。

出版不況と言われる中で、増税での売上の落ち込みは避けたい出版社側と政府側と溝は今のままでは埋まりそうにない。